給与額が上がったり、下がったりした場合には保険料はいつ、どう変わるのでしょうか?
「定時決定」とは
毎年4、5、6月の3か月間の給与の平均から標準報酬月額の見直しを行い、新しい「標準報酬月額」として9月分の保険料から原則1年間適用されます。これが1年に1回、厚生年金の加入者全員を対象として標準報酬月額を決める「定時決定」というルールです。
「随時改定」とは
「定時決定」で決まった標準報酬月額は、給与額が大きく変動すれば翌年の定時決定を待たずに改定されます。この改定を「随時決定」と言います。
「随時改定」に必要な条件
随時決定が行われるのは下記の3つの条件全てを満たした場合です。
1.昇給または降給等により固定的賃金が変動した
2.固定的賃金の変動があった月から3ヵ月間の給与平均から算出された標準報酬月額とこれまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた
3.変動月からの3ヵ月間の支払基礎日数が17日(短時間労働者は11日)以上だった
この3つの条件を全て満たした場合、随時改定が行われます。
例外となるケース
下記のような場合は「随時改定」の対象にはなりません。
・業績悪化等で、従業員の一時帰休など継続して3ヵ月以上通常より低い休業手当が払われた場合。
・業績が回復し、一時帰休が解消されて報酬が通常の状態まで戻った場合。
・病気や怪我、家族の事情などで会社を休職して休職給を受けた場合。
随時改定の対象になるケース
それでは、随時改定の対象になる場合の具体例を見ていきましょう。
条件
・以前は報酬月額37万(基本給30万円、各種手当等7万円)
・昇給により1月に報酬月額が45万円になった(基本給32万円、各種手当等13万円)
・2月の報酬月額が46万円(基本給32万円、各種手当等14万円)
・3月の報酬月額が44万円(基本給32万円、各種手当12万円)
・支払基礎日数はいずれの月も20〜22日
標準報酬月額が随時改定により変更
変動月からの3ヵ月間の給与の平均額が45万円となり、標準報酬月額は38万円から44万円へと変更されました。23等級から25等級へと等級が2つ以上変動し、ほかの条件も満たしたためこの場合は随時改定の対象となり、4月からの保険料に反映されます。