厚生労働省が、これまで厚生年金の加入義務がなかった「従業員500人以下の企業の短時間労働者(パートなど)」にも対象を広げる検討を始めました。まだ検討段階ですが、その狙いや効果についてまとめてみました。
国が厚生年金の対象者を増やすための検討を始めました
国としての適用拡大の狙いとメリット
・将来、基礎年金の給付しか受けない人たちが受け取れる金額を多くすること。
・厚生年金加入者は、給料から天引きで保険料を納めるので、厚生年金加入者が増えることで国民年金部分の保険料未納が減る。
厚生年金の対象者の範囲が拡大するかもしれません
厚生年金の対象者の拡大について、下記のような変更点が検討されています。
現在 | 変更後(検討中) | |
月収要件 | 月額8万8000円以上 | 月額6万8000円以上 |
企業の規模 | 社会保険の対象となっている従業員数が501名以上 | 社会保険の対象となっている企業である(被保険者数は不問) |
厚生年金のパート労働者への適用対象拡大は、従業員が501人以上の大企業では2016年からすでに実施されています。今回の適用拡大は、主に中小企業に勤める短時間労働者が対象となります。
新たに厚生年金の対象者となる人のメリットとデメリット
メリット
・将来受け取れる年金が増える
・遺族年金や障害年金が手厚くなる。失業保険がもらえる
・健康保険の給付が充実する
デメリット
・共働きで配偶者の社会保険の扶養に入っている人は扶養から外れることになり、厚生年金保険料を支払う分の負担が増え手取り収入が減る
課題
厚生年金保険料の半額を勤め先の会社は負担します。適用拡大により、これまでなかった事業主負担保険料を企業が払わなければならなくなります。その負担に企業が応じられるかも今後の課題となるでしょう。
まとめ
今後、議論が進んでいく案件で不確かな部分も多いですが概要をまとめてみました。社会、個人に大きく関わる問題ですので、今後も注意してチェックしていきましょう。